アサヒが手に入れられるかどうかは不透明な部分も残っている

健心のブログ…アサヒは09年に豪飲料大手シュウェップス・オーストラリアを770億円で買収したほか、11年にはニュージーランド酒類大手、インディペンデント・リカーを980億円で傘下に収めた。
泉谷氏が社長になって約5年で3500億円をM&Aに投資してきた。
しかし、10年前後から海外で巨額投資に踏み切ってきたキリンホールディングスサントリーホールディングスといった競合に比べ海外展開は遅れてきた。
両社が売上高に占める海外事業が3割台となるのに対し、アサヒは1割強にとどまる。
地域も偏っている。
アサヒの海外事業のうちオセアニアが6割強、東南アジアが2割強を占める。
巨大市場の中国や米国 で存在感は小さい。
とはいえ、世界のビール市場では有力な買収対象が少ないとされ、アサヒの海外事業拡大は容易でない状況に追い込まれていた。
そこに訪れたのがインベブによるSAB買収だ。
インベブは各地で独占禁止法への抵触を避けるため、資産売却を迫られている。
SAB傘下の老舗ビール会社、イタリアのペローニとオランダのグロルシュが売却されるのもその一環だ。
長い歴史を持ち、グロルシュの創業は400年以上前。
本来は買収できる機会が巡ってこない案件とされる。
アサヒにとって優良な出物に投資できる機会が巡ってきた格好だ。
SAB側は今春までに売却先を決めたい意向だ。
両社あわせて買収額は4千億円規模になる可能性もある。
アサヒの自己資本比率は 5割近いうえ、強い国内事業で得た豊富な資金がある。
現預金や借り入れなどで6千億~7千億円を機動的に用意できる体制にある。
アサヒはSABが近く実施する入札手続きに参加する。
ただ、ファンドや欧州ビール大手なども応札を検討しているとみられ、アサヒが手に入れられるかどうかは不透明な部分も残っている。